発表スライドの書式について
ここでいう発表スライドとは、プロジェクター等でスクリーンに投影するもののことです。スライド作成には、Microsoft Power Point 2010を使用していますので、文字の大きさなどはソフトに準拠しています。
基本方針としては、学会発表などのフォーマルな場所での発表を想定しており、大きな教室で後ろのほうからも見えるようにします。また、聴衆に理解しやすいように、装飾や色分けは最小限に行います。自分用メモも兼ねて書きます。
発表スライドの書式
【スライドの順番】
・発表の構成(目次)を入れた場合,番号をふって,それをスライドタイトルにする
・IMRAD(Introduction, Methods, Results And Discussion)に沿う
・研究方法(Methods)には目的,対象,方法を必ず入れる
【スライドの文字の大きさ】
・スライドタイトルは32~40ポイント
・見出しは28~32ポイント
・本文は18~28ポイント
・ページ番号は16~20ポイント
【スライドの文字の色や書体】
・基本は黒、パワーポイントのデザイン標準色を使わない
・白抜き文字は厳禁
・強調したいところだけ下線、太字や赤字
・書体はゴシック体がよい。メイリオ推奨。
・アニメーションは基本使わず、使用する場合にはページを複製して、次ページに挿入する(スライドを印刷して配布資料にする際のため)
・デザイン等は基本使用しない
【スライド中の図表】
・キャプションの文字の大きさは18~20ポイント
・縦軸横軸の単位を入れる
・白黒で印刷してもわかりやすいように色分けする
・調査等した場合には、全て発表するのではなく、結論に結びつくもののみ使用
・図はキャプションを下に,表は上に
・桁数カンマは必ず入れる
・数字は有効数字+一桁で表す
・母数(N)を示す
【引用文献】
・自分の考えではない部分には全て引用文献をつける
・引用文献の付け方は ” ~といわれている(山田, 2015)[1]” のように記述し,一番最後のスライドに引用文献一覧を番号順に載せ,同一の文献を引用した際には"2)前掲1)と同様”のように記述する。
【その他】
・文章はできる限り少なくし、発表する際にはスライドの文を読み上げ、その後に詳しい説明をする。
・スライド中の表記ゆれを統一(例:子ども、子どもたち。図書館、公共図書館、公立図書館)
・発表の構成(目次)、今後の予定、引用文献のスライドをいれる。
・できれば完成後はPDFにして、それで発表する(PPTバージョン違いなどによるレイアウト崩れを防ぐため)
・スライドはローカルストレージ(PCのドキュメントフォルダ等),クラウドストレージ(Dropbox等),USBフラッシュメモリの3ヶ所に必ず保存する
大学設置基準の改正
日本の大学に図書館が附属/設置されているのは,大学設置基準が主な根拠規定*1になっています。それが平成28年3月31日に改正されました。施行は平成29年4月1日からです。
大学設置基準等の一部を改正する省令の公布について(通知):文部科学省
大学設置基準のほか,高専や大学院,短大に関しても設置基準が改正されましたが,対象が違うだけで内容はほぼ同じです。大学設置基準の改正内容は以下の通り。
全ての大学等に,その職員が大学等の運営に必要な知識・技能を身に付け,能力・資質を向上させるための研修(スタッフ・ディベロップメント。以下「SD」という。)の機会を設けることなどを求めるものです。
(中略)
第1 改正の概要
1 大学設置基準(昭和31年文部省令第28号)の一部改正
大学は,当該大学の教育研究活動等の適切かつ効果的な運営を図るため,その職員に必要な知識及び技能を習得させ,並びにその能力及び資質を向上させるための研修(第25条の3に規定するものを除く。)の機会を設けることその他必要な取組を行うものとすること。(第42条の3関係)
これまで,ファカルティ・ディベロップメント(FD)はよく言われていましたが,職員を対象としたスタッフ・デベロップメントについて規定が設けられたのは画期的といえます。
省令は大臣の発布するものなので,法律や政令よりは強い規定ではありませんが,大学設置基準は大学運営にとって重要な規定でありますので,影響力は大きいのではと思います。
*1:国立大学の場合は「国立学校設置法」など
クラウドファンディングプロジェクト終了
昨年より実施していました,以下のクラウドファンディングが終了しましたので,
お知らせします。
公立図書館に『アンネの日記』など376冊の本を寄贈したい!- READYFOR? https://readyfor.jp/projects/ALIS-Anne
本プロジェクトでは、6館に対し51冊の寄贈を行いました。
これまで被害を確認し、寄贈を打診した自治体からは全て返信をいただき、
寄贈本の送付が終わりましたので、本プロジェクトを終了します。
詳しくはURLへ!
支援金が集まり、およそ1年と少し経過して
ここにプロジェクトの終了をお知らせできることを
大変喜ばしく思います。ありがとうございました!
図書館見学 矢祭もったいない図書館
(矢祭もったいない図書館 〒963-5118 福島県東白川郡矢祭町東舘石田25)
先週,矢祭もったいない図書館に行ってきました。この日は突然訪問したのですが,写真撮影の許可をいただこうとお尋ねしたところ,なんと職員の方にご案内いただきました。ありがとうございました。視察する場合には事前申し込みも受け付けているようです*1
私は車で訪問したのですが,この図書館は駅からも近くJR水郡線東館駅から徒歩1分*2です。車では,駅を目指して行って駅の目の前の道を左折すれば図書館が見えてきます。公民館と併設なのでかなり大きな建物です。
中に入ると公民館の受付と下駄箱があり,そこでスリッパに履き替えます。スリッパは備え付けのものを貸して下さいます。
入口を入って右手が図書館ですのでズズッと廊下を行くと防火扉にこんな素敵なサインがありました。もちろんいつもは開いた状態ですが,ご厚意で撮影のために閉めていただきました。
柳田邦男先生は,矢祭もったいない図書館が主催している手作り絵本コンクール*3で審査員をされているそうです。
手作り絵本コンクールは,今年で7回を迎えられるそうで,毎年全国からたくさんの応募があるそうです。一般の部と家族の部があり,それぞれ最優秀になった作品は書籍化してくださり,作者にはもちろんのこと,蔵書として矢祭もったいない図書館と作者のお住まいの公立図書館へ寄贈されます*4。
特に内容については制限がなく,海外からの応募やパッチワークの布絵本を応募された方もおられるそうです。いくつか最優秀作品を拝見すると,どの作品もとても暖かみがあり,それでいてしっかりした内容で,とても素人とは思えないものばかりでした。なかにはいくつか絵本作家を志している方からの応募もあるそうです。
「矢祭子ども司書」講座*5という児童向けの読書推進活動もされていて,全15回からなる大変しっかりしたカリキュラムの講座を毎年されています。子ども司書として認定された児童は,認定証をもらい名前が図書館の壁に掲げられ,「子どもサポーター」として図書館行事に参加できるそうです。職場体験や1日子ども司書といった活動は多く見られるものの,きちんとカリキュラムを組まれていることに感銘を受けました。
子どもサポーターが参加する図書館行事として,「家読(うちどく)祭り」があります。「家読祭り」は,家で読書をしましょうという読書推進活動の一環で,家で読むための「うちどく福袋」の貸出や,手作り絵本コンクールの展示がされていて,コンクールの絵本を使ってお話し会が開催されています。
お話し会をするのが子どもサポーターのみなさんです。普段はご両親や大人に読み聞かせされている側の子どもが,この日は逆に読み聞かせをする側になれる日というわけです。
今月14日に「家読まつり」が開催されるということで,もしお近くの方いらっしゃったらぜひ行かれてみてはいかがでしょうか。以下は「うちどく福袋」の中身の一例です*6。
さて,矢祭もったいない図書館の名前に,なぜ「もったいない」が入っているのかについて,書きたいと思います。矢祭もったいない図書館は,全国から図書の寄贈を募り,寄贈本のみで蔵書を構成するという試みによってつくられた図書館です。この町立図書館は,町の総合計画による町民アンケートの結果,町立図書館の設置が大多数寄せられたために開館されました*7。
寄贈本は,職員さんによると3万冊程度集まれば…と考えられていたそうですが,予想を大きく上回る45万7000冊が寄贈され,現在も継続して寄贈があるそうです*8。ちなみに図書の寄贈者の名前も図書館に掲げられていました。
さて,ここで私が訪問する前から疑問だったこと,寄贈本だけで蔵書構成に偏りはでないのかとうかがったところ,思ったより出ないとのことでした。館内をぐるっと見学させていだきましたが,開架部分だけでも小説,実用書,児童書,辞典類と豊富に揃っているように思いました。以下の写真は入口正面にある新刊書の棚です。ちなみにこの隣にも机があり十数冊が展示してありました。手にとって何冊か拝見しましたが,古本のようには見えませんでした。最近は,刊行から三年以内の本の寄贈を受け入れているそうです。
この他,ご厚意で書庫も見せていただきました。全集や大きな美術書等はこちらにおかれているそうで,この隣の2階建ての建物にも電動式書架がびっちりありました。寄贈された本は開架だけでなく,閉架書庫と町の公民館図書室や郵便局にも置かれているそうです。
全集や美術書も寄贈というのにも大変驚きました。なんでも昔付き合いで買わされた方やご家族の遺品で所蔵していた方が「図書館に所蔵してくれるなら…」ということで寄贈していただいたそうです。
職員さんによると,寄贈で図書館を作るなどとんでもない!というお叱りの電話を何度ももらったそうですが,こんなにも豊富な蔵書になると誰が予想できたでしょうか?
45万冊にもなる寄贈本の装備は町民のみなさんがボランティアをして手伝ってくださったそうです。町民のかたの5人に1人は図書館ボランティアをしてくれたそうです。新書も豊富でした。
矢祭もったいない図書館が成功した理由として,
・町民によるボランティアの協力があったこと
・矢祭町が以前新聞で取り上げられていた等のネームバリューがあったこと
・書庫を持つことのできるスペース(駐車場があった場所を一部書庫にした)があったこと
を挙げておられました。開館当初はたしかにそうかもしれませんが,現在も継続して寄贈があるのは,職員のみなさんの情熱あってこそと思いました。
*1:
*2:
*3:
矢祭もったいない図書館 - 第7回矢祭町「もったいない図書館」手づくり絵本コンクール
*4:残念ながら第一回の作品以外は買うことが出来ません
*5:
*6:主に児童向けに年代別になっていました。貸し出す本の他に雑誌付録やお菓子のおまけが付いていて本当に福袋みたいです。これが30袋くらいあって,例年全て貸し出されるそうです。
*7:
「もったいない図書館」開館(福島県矢祭町) | カレントアウェアネス・ポータル
当該記事に記載されている新聞記事等はリンク切れ
*8:
詳しくはこちらの記事を読んでいただくほうがわかりやすい。全国各地から寄贈された45万冊を住民だけで運営 「矢祭もったいない図書館」が映す地方創生の光|相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記|ダイヤモンド・オンライン
生涯学習情報提供システムってはじめてききました
新任図書館長研修の事務局をお手伝いする機会をいただき,少しだけ講義を拝聴しました。そのなかで,生涯学習情報提供システムについてふれられていて,初めて聞いたので調べてみました。
生涯学習情報提供システムとは
文部省(生涯学習局学習情報課)では、生涯学習基盤整備の観点から、都道府県と管内市町村をコンピュータ等によりネットワーク化することにより、各種の学習機会等に関する多様な情報を住民に提供するとともに、適切な学習相談を実施する体制を整備するため、昭和六二年度より「生涯学習情報提供システム整備事業」を実施している。現在までに一三府県において、システム構築が進んでいる。
このシステムにおいて提供される情報は、今後の各県システムの相互利用を前提に、学習機会、施設、指導者情報等六分野を標準としている。さらに、文部省では、平成元年度にデータベース構築における入力情報の分類と様式を示した。各県においては、これを参考にシステム整備が進んでいる。
(引用:全国の生涯学習情報のシステム化に関する調査研究協力者会議の審議とりまとめについて:文部科学省平成三年八月)
具体的には,以下のような内容が掲載されている。
学習機会
○ 放送大学に関する情報
○ 大学の社会人入学制度、聴講生制度、通信教育、公開講座等に関する情報
○ 社会通信教育に関する情報
○ 全国的規模のイベント情報
施設
○ 生涯学習関連施設、専門機関、研究所に関する情報
○ 全国的に特色のある施設の情報
教材
○ 全国の生涯学習関連施設の所蔵資料の情報
○ 郷土資料・視聴覚教材に関する全国的な情報
各種資格
○ 国家資格等各種資格、技能検定・認定等の情報
○ 学位授与機構に関する情報
その他
○ 生涯学習に関する文献・研究成果情報
○ 海外留学制度、日本人学校等の情報
団体・グループ
○ 生涯学習関連の全国的団体の情報
指導者
○ 国等の公的機関で把握・公開可能な指導者・学識者の情報
事例:
群馬県生涯学習センター「まなびねっとぐんま」
キーワード”生涯学習情報提供システム”で検索すると,たくさん出てきます。最近はあまり活発には使われていないそうです。
図書館初心者のための文献リスト
最近の図書館、レファレンスサービスについて知りたい、と小学校からの友人から問い合わせがあったので、文献を紹介しました。
ついでなので、たくさん挙げてブログにアップしちゃおうという算段です。はじめはSISTで挙げてたんですが、Amazonの商品挿入機能が便利すぎるのでそれ使いました。アフィリエイトではないのでクリックしてもなにも発生しないです。
ちょっと考えて思いついたのを挙げたのでまた追加するかもしれません。
追記
本を2冊(「図書館の主」「インターネット時代のレファレンス」)追加しました(2015/07/23)
【最近の図書館について】
つながる図書館: コミュニティの核をめざす試み (ちくま新書)
- 作者: 猪谷千香
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2014/01/07
- メディア: 新書
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【図書館の使い方】
図書館を使い倒す!―ネットではできない資料探しの「技」と「コツ」 (新潮新書)
- 作者: 千野信浩
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/10
- メディア: 新書
- 購入: 8人 クリック: 139回
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図書館のプロが教える“調べるコツ”―誰でも使えるレファレンス・サービス事例集
- 作者: 浅野高史,かながわレファレンス探検隊
- 出版社/メーカー: 柏書房
- 発売日: 2006/09
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 194回
- この商品を含むブログ (29件) を見る
【レファレンスサービスについて】
地域の情報ハブとしての図書館(課題解決型の図書館を目指して):文部科学省
ニューヨーク公共図書館、1940~1980年代のレファレンス質問をInstagramで公開 | カレントアウェアネス・ポータル
インターネット時代のレファレンス : 実践・サービスの基本から展開まで
- 作者: 大串夏身,田中均
- 出版社/メーカー: 日外アソシエーツ
- 発売日: 2015/03/12
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
【番外編】
知識経営のすすめ―ナレッジマネジメントとその時代 (ちくま新書)
- 作者: 野中郁次郎,紺野登
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1999/12
- メディア: 新書
- 購入: 8人 クリック: 60回
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図書館見学 長井市立図書館
(長井市立図書館 〒993-0004 山形県長井市神明町3番7号)
春休みに図書館見学へ行ってきました。
長井市立図書館は、フラワー長井線長井駅から徒歩15分のところで白つつじ公園を目指していくと辿り着くことができます。駅からですと少しわかりにくいのですが、TAS(4階建のショッピングモールでこの辺りでは目立つ高い建物)の目の前にある公園の中を目指していけば行けると思います。
入り口すぐ横には、「靴の汚れている方や音の出るくつを履いている場合にはこちたのスリッパに履き替えてください」という注意書きがあり、スリッパが並べられていたり、コート等を掛けるための棚があったりと、細やかな気配りの感じられる図書館です。
写真を見て分かる通り変わった建物なのですが、利用者が利用できるのは1階部分のみで、児童書架と一般書架と閲覧席があります。入ってすぐの棚には雑誌と地元の広報誌や博物館の案内や白書類が並べられ、観光目的で来た利用者にとっても、常連の利用者にとっても使い易いよう配慮されていました。
図書館は正方形で、入って手前半分の空間が児童書架で、奥の空間が一般書架になっていました。そのちょうど中間にあたる、児童書架が見える位置に育児書や料理本が置かれていて、親子利用者への配慮が感じられました。入り口から入って正面の棚には新刊書が並べられていました。
図書館の広さがあまり無いためか、書架の高さが全体的に高く、上の棚まで本が入っていました。地震対策のための補強はされており、上の書架にある本を取りやすくするための備え付けのはしごや台座がありました。
郷土史料はカウンターのすぐ正面にあり、棚2つ分ありましたが、書庫にも所蔵があるらしく「郷土資料をご利用の方はカウンターまでお申し出ください」と表示がありました。
職員の方の話では、天気の良い日には外に机と椅子を出して青空読書会をされているそうです。