AIは東大に入れるか?リーディングスキルフォーラムに参加

ビックデータで深層学習(ディープラーニング)すれば未来予想は自由自在!AIは万能!のようなニュースや風説を耳にする機会が増えてきました。私はAIと機械学習と統計の違いが説明できない(あるいは違いがないかもしれない、それもわからない)ズブの素人です。

しかし、図書館に携わるものとして読解力と読書について興味はありますし、教鞭をとるものとして”AIは東大に入れるか?”について興味があり、継続してこのプロジェクト*1をみていました。

 

成果報告会が開催されるとのことなので、参加してきました。

 

リーディングスキルフォーラム~AI時代に求められる教育とは~」

【 日 時 】 2017年11月2日(木)13:30〜17:00
【 主 催 】 情報・システム研究機構 国立情報学研究所
【 後 援 】 東京新聞毎日新聞社読売新聞社
【 協 力 】 学校法人高宮学園代々木ゼミナール、東京書籍株式会社、日本電信電話株式会社、日本ユニシス株式会社、
        株式会社野村総合研究所富士通株式会社、株式会社ベネッセコーポレーション、株式会社ポプラ社
【 会 場 】 一橋講堂(学術総合センタービル内)
【 定 員 】  400名   
【 参加費 】 無 料

リーディングスキル フォーラム - 新井研究室

 

AIは東大に入れるか?この問いはNOなのは報道の通り*2です。重要なのはその先のことです。

東大に入るために作られたAI(通称:東ロボくん)は、東大には不合格ですが、日本の大学およそ700校のうち、およそ500校に80%の確率で合格することができる、というお話をされました。このネタは既にTEDで発表されていた内容でした。このご発表のなかで重要なことは、

 

では東ロボくんが合格できた大学へ合格できない学生は、どうなるのか?

 

ということで、これについて繰り返しおっしゃられていました。

AIが人間の労働を奪う、といった言説があります。もしくは、単純労働はロボットに任せて人間は創造的な活動のみ担当すれば良いといった言説もあります。

 

AIに代替されない人間とはどのような人間なのか?

 

東ロボくんは読解力に関する問題の点数が低く、それで東大に合格できる点数に達することができなかったそうです。日本の大学の500校には8割の確率で合格できる東ロボくんに対抗するためには、現時点では、人間の能力として読解力を上げる必要があり、AI(東ロボくん)に代替されない人間は、読解力の高い人間であるということです。

 

つまり、読解力の高い人間を教育していく必要があるということです。

 

リーディングスキルテスト(略してRST)は、読解力を測定するためのテストで、4択の選択式問題で小学校から大人までを対象としたテストです。問題作成にあたっては、事前知識の必要な問題は排除し、また複数の予備調査によって年齢や学齢によって正答率に大きく差のでる問題は排除しており、同様にほぼ100%の正答率になる問題は簡単すぎるために読解力の測定に使用できないため排除する、といった精緻な作業が行われています。

 

結果として、中学校時点で、サイコロでランダムに選択肢を選んで回答したよりも正答率の悪い結果が散見されたそうです。

そこで、次のプロジェクトの目標として「中学校卒業までに中学校の教科書を読解できるようにする」ことを掲げておられるそうです。

 

RSTによって2万人の読解力を測定したところ、読書時間と読解力に正の相関はない、ということでしたが、そもそもアンケートが理解できていない(読解力がないので)可能性があるので、アンケート自体無意味である、といったこともおっしゃっておられました。

継続してこのプロジェクトに注目していきたいと思います。