「クラウドファンディングによる図書館の可能性」フォーラムに登壇

 こんにちは!猛暑だった今年の夏が終わりそうで終わらない、残暑厳しいなか、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

 台風21号や北海道地震によって被災された皆様におかれましては一日も早く日常を取り戻されるようお祈り申し上げます。少額ではありますがヤフー募金(https://donation.yahoo.co.jp/)やふるさと納税での支援をいたしました。

図書館総合展とは

 第20回図書館総合展八洲学園大学の教員としてブースを出しますほか、フォーラムへ登壇することになりましたので、お知らせします。

 図書館総合展とは、いわゆる図書館業界の出版社や企業、大学といった団体が集まる東京ゲームショウのようなものです。学生さんにとっては、図書館だけでなくさまざまな関連企業を知ることのできる良い機会になりますし、図書館員にとっては業界の最新情報を知ることができまた当該企業のひとと知り合いになれる良い機会かと思います。

 私の情報サービス演習の授業では図書館総合展の話を少しするので、受講された学生さんはご存知かもしれませんが、あまり図書館総合展事態がどういったものかわからない、ということがあるかもしれません。そういった方のために、総合展ラジオというのがあります。雰囲気を知りたい方は以下のURLを参照してください。

LibraryFair_LIVE - YouTube

もしくは、過去の図書館総合展では一部のフォーラムが動画でアーカイブが残っています。以下のURLにあります、各回のフォーラム動画記録、もしくは放送局&レポートサービスをご参照ください。

アーカイブ | 図書館総合展

 

クラウドファンディングによる図書館の可能性」フォーラムとは

私が登壇するのは

クラウドファンディングによる図書館の可能性 | 図書館総合展というフォーラムです。カレントアウェアネスで記事を執筆したことなどがご縁でコーディネーター(司会?)としてお声掛けいただきました。フォーラムでは、大学図書館と公立図書館と学校図書館団体の方にご登壇いただきます。クラウドファンディングというと、ベンチャー企業だったり被災地だったりへの支援を思い浮かべる方が多いかと思います。しかし、2012年以降は図書館の開設や蔵書の充実、イベントや運営資金の調達のために実施されることが見られるようになりました。

 本来であればそれぞれの図書館の設置団体によって行われるはずの事業でありますが、資金難であるために実施できないことが多くあります。クラウドファンディングを実施することで、資金を集めること以外の副次的な効果として、資金難であることをステークホルダーへ知らせたり、広報活動の一環として図書館のファンを増やすことができたりします。例えば、大学図書館であれば、大学が設置主体であるので大学が資金を募ることで資金を集めることができます。しかし、クラウドファンディングであれば学友会に加入していない卒業生や大学の設置されている地域住民の方、大学教育に関心のある方へ支援をお願いすることができます。また、クラウドファンディングは寄付金では不明確であった使途が明確で、なんらかのリターンがある場合がほとんどなので、支援者にとっても支援しやすかったり、税金の寄付控除があったりすることでメリットがあることがあります。

 フォーラムでは、それぞれのクラウドファンディングを実行して成功されたパネリストのみなさんに実施に至る経緯、成立に至るまでの試行錯誤などを中心にご発表いただきますので、ぜひご来場お待ちしております。

学校図書館情報サービス演習のシラバスと文献

 私は八洲学園大学で今年の4月から学校司書モデルカリキュラム対応「学校図書館情報サービス論」(八洲学園大学では演習科目として学校図書館情報サービス演習と名称変更)を担当しています。

 学校図書館情報サービス演習は教科書がない授業なので、授業ではシラバスをもとに授業を組み立て、参考文献をもとに配布資料を作成してすすめてまいりました。何を使ったのか記録もかねて記事にしたいと思います。なお、一覧に載せたのは授業資料に記載していないものを主として、あとは重要なものを補足として、事例などのURLは省略しています。

 いまSLA(全国学図書館協議会)でも学校司書モデルカリキュラムのシラバスについて検討しているところのようです。

公益社団法人国学図書館協議会 学校司書の養成および研修のあり方検討委員会は、文部科学省による「学校司書のモデルカリキュラム」に対応した「全国SLA学校司書養成科目シラバス」の検討を進めてきました。

 このほど、第一次案を第41回全国学校図書館研究大会(富山・高岡大会)で提案いたしました。この一次案について、皆様からのご意見を募集します。ご意見を基にさらに検討を深め、「全国SLA学校司書養成科目シラバス」を成案化する予定です。

(引用元:

全国学校図書館協議会||【意見募集】全国SLA学校司書養成科目シラバス(第一次案)

そこで、私のシラバスを公開してどういった内容か参考文献も挙げたいと思います。授業資料は春学期をやってみて絶賛改訂中です。

 

シラバス

【第1回】教育課程と学校図書館

【第2回】学校図書館における情報サービスの意義

【第3回】情報サービスの理論と実践(種類と事例)

【第4回】学校図書館の現状と情報メディアの利用

【第5回】情報リテラシー著作権

【第6回】学習情報ニーズに答える情報探索と情報収集

【第7回】情報リテラシーと探索的な学習基礎

【第8回】情報リテラシーと探索的な学習応用

【第9回】情報検索の基礎(サーチエンジンOPAC等)演習

【第10回】インターネット上の情報源の利用(パスファインダー,リンク集)演習

【第11回】オンラインデータベースの利用(国内外の新聞・雑誌のデータベース等)演習

【第12回】レファレンスコレクションの整備(参考資料,地域資料,ファイル資料,二次資料,各種資料リスト)演習

【第13回】レファレンスサービス(児童生徒からの相談・質問への対応) 演習

【第14回】レファレンスサービス(教職員からの相談・質問への対応) 演習

【第15回】情報源を使用した総合演習 まとめ

 

およそ1~6は授業の第1回~8回、7~17は授業の第9回~15回で使用しています。

 

【参考文献一覧】

①堀川照代, 塩谷京子. 学習指導と学校図書館. 放送大学. 2016.10

②山本順一, 気谷洋子. 情報メディアの活用. 放送大学. 2016.06

③齋藤泰則. 学習指導と学校図書館. 樹村房. 2016.02

鳥取県立図書館学校図書館活用ハンドブック. 鳥取県. 2016.03

⑤塩谷京子. すぐ実践できる情報スキル50:学校図書館を活用してはぐくむ基礎力. ミネルヴァ書房, 2016

⑥朝比奈大作, 米谷茂則. 読書と豊かな人間性. 放送大学, 2015

情報科学技術協会編. 新訂3版情報検索の基礎知識. 情報科学技術協会, 2015

⑧岡紀子, 田中邦英. 改訂図書館と情報技術情報-検索基礎能力試験の過去問題と解説収録-, 樹村房, 2017

⑨中嶋雅人. “図書館探索型行事「ミステリークエスト」活動報告”. カレントアウェアネス-E, No.250, 2013.12, http://current.ndl.go.jp/e1510.

文部科学省. 大学における先進的な実践例平成27年度. 2015, http://www.mext.go.jp/a_menu/kaihatu/jouhou/1400557.htm

⑪高橋恵美子. 学校司書という仕事. 2017. 青弓社

齋藤誠一. 学校図書館で役立つレファレンステクニック. 2018. 少年写真新聞社

⑬長澤雅男, 石黒祐子. 問題解決のためのレファレンスサービス. 2007. JLA

⑭野口武悟, 成松一郎. 多様性と出会う学校図書館. 2018. 読書工房

⑮齋藤泰則. 利用者志向のレファレンスサービス. 2009. 勉誠出版

⑯庭井史絵. 学校図書館員と教員による指導上の役割分担形成プロセス. 日本図書館情報学会誌, 63(2), 2017.  https://www.jstage.jst.go.jp/article/jslis/63/2/63_90/_pdf/-char/ja

大分県教育委員会.学校図書館ボランティアハンドブック. 大分県

 

そのほか、授業で紹介できなかったものも含めてブクログに載せていますので、ご参考まで。
授業用に作り直していますので、ブクログは随時更新予定です。

 

【その他授業内で紹介したウェブサイト(一部)】

  八洲学園大学では、現役の学校司書さんが多く受講された一方で図書館勤務経験はないが司書資格は既に取得済みの方もいらっしゃったので、どのレベルで話すか、がかなり毎回試行錯誤でありました。ただ、学校司書さんは自分の勤務されたことのある学校図書館しかご存じない可能性もあるので、先進的な取り組みや活発に利用されている学校図書館をいくつか見学させていただき、事例として示すことで勤務経験のあるなしにかかわらず、学校図書館の将来像やこれまでと違うイメージを持ってもらえたのではと思います。

反省点としては、ICT機器の活用をもっとしたかったことと情報リテラシーの話を深くしてもよかったかなというところです。

クラウドファンディングによる図書館の事例

カレントアウェアネスで「クラウドファンディングによる図書館の資金調達」の記事を書きました。今回はそのなかで触れられなかった事例について紹介します。

学校図書館のパフォーマンス力を上げるイベントを開催したい!は、あと6日で、約23人からの協力がないと支援が届きません。ひとりでも多くの方に広めてください! - Readyfor #学校図書館団体SLiiiC https://readyfor.jp/projects/sliiicswc2018

サマーワークキャンプを実施するためのクラウドファンディングです。実施団体は、学校図書館の勉強会を定期的に開いている団体SLiiiCです。

 

京都古文化保存協会、クラウドファンディングによる寄附金募集サイトを開設 | カレントアウェアネス・ポータル http://current.ndl.go.jp/node/35812

独自にクラウドファンディングのサイトを作成している事例です。サポーターとして登録することで継続して支援ができ、また目標額に達しなくとも寄付されます。返礼品についての記述はありません。実施団体は、京都古文化保存会です。

 

大阪府島本町とエフバイジーふるさと納税制度を活用したガバメントクラウドファンディングで提携、同時に3つのプロジェクトを開始 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000027837.html

ふるさと納税で用途を選択する際に、図書館への寄贈が選択できる仕組みです。この場合は、寄付金が目標額に達しなくとも寄付されます。実施団体は、島本町大阪府)です。

 

地元女性たちが運営する指宿市立図書館、クラウドファンディングで日本最高額の1000万円達成 https://www.huffingtonpost.jp/2017/07/17/ibusuki_n_17507738.html

 ブックカフェ(移動図書館)を運航するために実施されたクラウドファンディングです。実施団体は、NPO法人そらまめの会です。

 

全国の図書館へ!童謡教科書寄贈のためのクラウドファンディング - NPO法人日本国際童謡館のプレスリリース https://www.value-press.com/pressrelease/196530

 図書館へ童謡の教科書を寄贈するために実施されたクラウドファンディングです。実施団体は、NPO法人日本国際童謡館です。

 

記事では、館種に着目して図書館の設置団体が実施したと確認できた事例についてまとめました。今回はそれ以外の事例についてまとめました。

クラウドファンディングは、いくつか方式があります。具体的には、1.投資型、2.ファンド型、3.株式型、4.購入型、5.寄付型です。1~3は投資目的で行われリターンはお金です。4~5は寄付目的で行われ、リターンはサンクスメールや氏名の掲示、商品などです。これまでの事例では4や5が多くみられました。

図書館はお金を生み出すのが難しいサービスのため、大谷図書館の事例で言及されていたような”図書館があることに意義を感じてくれている”ことが成立の要素だといえます。

AIは東大に入れるか?リーディングスキルフォーラムに参加

ビックデータで深層学習(ディープラーニング)すれば未来予想は自由自在!AIは万能!のようなニュースや風説を耳にする機会が増えてきました。私はAIと機械学習と統計の違いが説明できない(あるいは違いがないかもしれない、それもわからない)ズブの素人です。

しかし、図書館に携わるものとして読解力と読書について興味はありますし、教鞭をとるものとして”AIは東大に入れるか?”について興味があり、継続してこのプロジェクト*1をみていました。

 

成果報告会が開催されるとのことなので、参加してきました。

 

リーディングスキルフォーラム~AI時代に求められる教育とは~」

【 日 時 】 2017年11月2日(木)13:30〜17:00
【 主 催 】 情報・システム研究機構 国立情報学研究所
【 後 援 】 東京新聞毎日新聞社読売新聞社
【 協 力 】 学校法人高宮学園代々木ゼミナール、東京書籍株式会社、日本電信電話株式会社、日本ユニシス株式会社、
        株式会社野村総合研究所富士通株式会社、株式会社ベネッセコーポレーション、株式会社ポプラ社
【 会 場 】 一橋講堂(学術総合センタービル内)
【 定 員 】  400名   
【 参加費 】 無 料

リーディングスキル フォーラム - 新井研究室

 

AIは東大に入れるか?この問いはNOなのは報道の通り*2です。重要なのはその先のことです。

東大に入るために作られたAI(通称:東ロボくん)は、東大には不合格ですが、日本の大学およそ700校のうち、およそ500校に80%の確率で合格することができる、というお話をされました。このネタは既にTEDで発表されていた内容でした。このご発表のなかで重要なことは、

 

では東ロボくんが合格できた大学へ合格できない学生は、どうなるのか?

 

ということで、これについて繰り返しおっしゃられていました。

AIが人間の労働を奪う、といった言説があります。もしくは、単純労働はロボットに任せて人間は創造的な活動のみ担当すれば良いといった言説もあります。

 

AIに代替されない人間とはどのような人間なのか?

 

東ロボくんは読解力に関する問題の点数が低く、それで東大に合格できる点数に達することができなかったそうです。日本の大学の500校には8割の確率で合格できる東ロボくんに対抗するためには、現時点では、人間の能力として読解力を上げる必要があり、AI(東ロボくん)に代替されない人間は、読解力の高い人間であるということです。

 

つまり、読解力の高い人間を教育していく必要があるということです。

 

リーディングスキルテスト(略してRST)は、読解力を測定するためのテストで、4択の選択式問題で小学校から大人までを対象としたテストです。問題作成にあたっては、事前知識の必要な問題は排除し、また複数の予備調査によって年齢や学齢によって正答率に大きく差のでる問題は排除しており、同様にほぼ100%の正答率になる問題は簡単すぎるために読解力の測定に使用できないため排除する、といった精緻な作業が行われています。

 

結果として、中学校時点で、サイコロでランダムに選択肢を選んで回答したよりも正答率の悪い結果が散見されたそうです。

そこで、次のプロジェクトの目標として「中学校卒業までに中学校の教科書を読解できるようにする」ことを掲げておられるそうです。

 

RSTによって2万人の読解力を測定したところ、読書時間と読解力に正の相関はない、ということでしたが、そもそもアンケートが理解できていない(読解力がないので)可能性があるので、アンケート自体無意味である、といったこともおっしゃっておられました。

継続してこのプロジェクトに注目していきたいと思います。

 

 

図書館員のための文献リスト

図書館で働いているけれど、まだ司書資格は取得していないという人はそれなりにいると思います。また、司書資格は取得したけれどそれはかなり昔のことで、図書館に異動になったという方もいらっしゃるかと思います。この記事は、「図書館についてある程度は知っているけどもっと知りたい」「最近の図書館について知りたい」「図書館のことをあらためて勉強したい」という人におすすめの本などについて紹介したいと思います。随時追加予定です。

 

【最近の図書館について】

図書館情報学を学ぶ人のために

図書館情報学を学ぶ人のために

 

 

図書館情報学 第二版

図書館情報学 第二版

 
ささえあう図書館 「社会装置」としての新たなモデルと役割 (ライブラリーぶっくす)

ささえあう図書館 「社会装置」としての新たなモデルと役割 (ライブラリーぶっくす)

 

 

 【これからの図書館サービス】

「図書館海援隊」の活動について:文部科学省

 

CA1818 - 研究データ共有時代における図書館の新たな役割:研究データマネジメントとデータキュレーション / 池内有為 | カレントアウェアネス・ポータル http://current.ndl.go.jp/ca1818

 

横浜市立旭図書館、「よみがえる昭和の街並み 旭区風景写真アーカイブ」を公開 | カレントアウェアネス・ポータル http://current.ndl.go.jp/node/33678

 

第3回CODHセミナー 人文学でのDOI活用 〜研究データや所蔵品など研究資源へのDOI付与〜 | 人文学オープンデータ共同利用センター

 

メタデータとウェブサービス (わかる! 図書館情報学シリーズ 3)

メタ データとウェブサービス (わかる! 図書館情報学シリーズ 3)

 

 

情報の評価とコレクション形成 (わかる! 図書館情報学シリーズ 2)

情報の評価とコレクション形成 (わかる! 図書館情報学シリーズ 2)

 

 

【図書館の資金調達】

東京藝術大学附属図書館、クラシックSPレコードを救うための支援金をネットで募集開始 | カレントアウェアネス・ポータル http://current.ndl.go.jp/node/33091

 

筑波大学附属図書館、良質な本を充分に揃えるための支援金をネットで募集開始 | カレントアウェアネス・ポータル http://current.ndl.go.jp/node/33344

 

陸前高田市の空っぽの図書室を本でいっぱいにしようプロジェクト」など、クラウドファンディングサービス「READYFOR?」の「READYFOR OF THE YEAR 2015」で部門賞を受賞 | カレントアウェアネス・ポータル http://current.ndl.go.jp/node/30516

 

 

【図書館の使い方】

 

図書館「超」活用術 最高の「知的空間」で、本物の思考力を身につける
 

 

図書館徹底活用術

図書館徹底活用術

 

 

【図書館の広報】

 

 ライブラリー・リソース・ガイド(LRG) 第12号 | Fujisan.co.jpの雑誌・定期購読 http://www.fujisan.co.jp/product/1281695255/b/1226802/ 

 

 

 

【事例紹介】

 

図書館実践事例集 ~人・まち・社会を育む情報拠点を目指して~:文部科学省

 

「本の寺子屋」が地方を創る 塩尻市立図書館の挑戦

「本の寺子屋」が地方を創る 塩尻市立図書館の挑戦

 

 

拝啓 市長さま、こんな図書館をつくりましょう

拝啓 市長さま、こんな図書館をつくりましょう

 

 

名古屋市の1区1館計画がたどった道―図書館先進地の誕生とその後

名古屋市の1区1館計画がたどった道―図書館先進地の誕生とその後

 

 

 

「よろず相談」はじめました

図書館見学した際に、司書がおらずただ本を並べただけの図書館を目にすることが何度かありました。そうした図書館へ役に立てる方法はないか考えた結果、図書館に関する相談にのるための「よろず相談」をはじめました。初回は無料です。ENTYというサービスを使用して決済しますので、クレジットカード情報などは私には渡りませんし、業務上知り得たことは業務以外で使用いたしません。このブログでは、簡単な経緯について述べます。

 

自分の経歴を活かして、図書館へ貢献することが何かできないか、長らく考えておりました。もちろん、研究成果を通じて図書館情報学の一助となり、結果として図書館に貢献することは継続して行きたいと考えておりますし、それが本分だと考えています。しかし、それでは、いまどこかで困っている人にすぐ役に立つことはなかなか難しいと思います。

 

そこで、まずは「相談にのることが出来ます」という看板を掲げることでなにか貢献できることがあるのではないかと考えました。需要があるかどうかわからないですし、こうした相談は信頼と実績があってこその事業だと思います。そのため、いま私が既に仕事としている教員としての仕事(課題レポートに関する相談)と、やったことのある仕事(ウェブサイト作成に関する相談)も併せて募集することにしました。

 

それぞれの相談は月に一度程度を想定しています。もしそれ以上をご希望の場合や、短期間に集中してお願いしたいと言った場合には、個別にお知らせください。
ご連絡はredmmlib @ gmail.comまで(@の前後にあるスペースを削除してください。)

査読論文をオープンアクセスにする

 先日、論文が載録されたので機関リポジトリでオープンアクセスにしようと思い、手続きを行っています。オープンアクセスというとピンとこない人もいると思いますので、簡単に解説して手続きについてもメモ代わりに記事を書きたいと思います。

 

  • オープンアクセスとはなにか

オープンアクセス(以下、OA)とは、

学術論文や学術雑誌の掲載記事が、インターネットを通じて誰でも自由に閲覧できること。 

コトバンクより引用

であり、通常は有料で購入されている学術雑誌を無料で閲覧できるようにしましょうという考え方や、状態を表す言葉です。

 背景としては、学術雑誌は代替がしにくいものであるため、市場原理が働かず特定の出版社による独占状態によって値段の高騰が原因として挙げられます*1。値段が高ければ限られた一部の人しか研究成果を閲覧することができません。そこで、無料で誰でも自由に閲覧できるようにしましょうという考えが生まれました。

  • OAの方法

では実際にOAしようと思った時には、どのような方法があるのでしょうか。その方法は以下の2点に分けられます。

OA を実現する方法はふたつある。グリーン OA とゴールド OA である。前者は、著者が自身の HP や所属する学術・研究機関のリポジトリなどで論文のアクセプト原稿を公開するという方法、後者は査読つき OA ジャーナルで論文を出版するという方法である。

商業出版社のオープン・アクセス戦略より引用

まとめると、グリーンOAは自分で公開、ゴールドOAは雑誌がOA*2ということです。今回はグリーンOAのなかでも所属機関のリポジトリで公開する方法について書きます。

 大学等の所属機関のリポジトリを特に機関リポジトリといいます。現在は学術雑誌の多くが有料で公開されているため、まずは機関リポジトリについて書き、次に有料の学術雑誌を機関リポジトリでOAにするための注意点等について書きます。

 機関リポジトリとは、主に大学が提供している論文やデータを公開するためのポータルサイトのことです。代表例としては、以下の機関リポジトリが挙げられます。

  1. 筑波大学つくばリポジトリ(Tulips-R)
  2. 千葉大学千葉大学学術成果リポジトリ CURATOR
  3. お茶の水女子大学TeaPot:お茶の水女子大学 教育・研究成果コレクション

 その他、コンソーシアムを組んで機関リポジトリを運営している大学など様々あります。上記の機関リポジトリをいくつか見てもらうとわかりますが、機関リポジトリに掲載されているのは、論文だけではなく博士論文やデータ、図書等も含まれています。

 大学であれば半永久的に存在する機関であり、論文等のデータも半永久的に公開し続けられるであろうこと、掲載されている論文等にウィルスが含まれていないであろうことがメリットとして挙げられます*3。今回は私が大学に所属していることもあり、機関リポジトリによるOAを選びました*4

  • OAの注意点

 ではOAにあたっては何に注意する必要があるのでしょうか。それは著作権の帰属問題です。著作物の原則は、著作者(筆者)に著作権があるのが通常ですが、学術論文ではそうではない場合があります。

本誌に掲載されるすべての論文等の著作権は本学
会に帰属する。
 ただし,著者は自分の論文等を複製,翻訳,翻
案等の形で利用することができる。論文等の全部
あるいは大部分を他の著作物(ウェブページへの
掲載を含む)に利用する場合は,その旨を編集委
員会に申し出ると共に,出典を明記する。

日本図書館情報学会投稿規定より引用

 論文の著作権に関して、それぞれの学会がどのように定めているのかを知るための手段として、学協会著作権ポリシーデータベース(以下、SCPJ)があります。例えば、日本図書館情報学会の情報を見てみると、以下のように定められています。

 出版社版の利用
出版社版を利用可能です
公開場所
著作者個人のWebサイト
機関リポジトリ
公開条件
出典表示を行うこと
猶予期間を遵守すること (5年)
事前に照会を行うこと
出版社版の使用は刊行後5年経過後
刊行後5年以内は,著者版のみ使用可
NII-ELSの画像を使用する際は、次のメタデータを記述してください。
http://scpj.tulips.tsukuba.ac.jp/info/nii.html

SCPJより 一部抜粋

以上より、日本図書館情報学会では、事前に照会を行えば機関リポジトリへの登録が認められていることがわかります。

 

次回記事は実際の手続きについて書きます。