クラウドファンディングによる図書館の資金調達事例
カレントアウェアネスで「クラウドファンディングによる図書館の資金調達」の記事を書きました。今回はそのなかで触れられなかった事例について紹介します。
学校図書館のパフォーマンス力を上げるイベントを開催したい!は、あと6日で、約23人からの協力がないと支援が届きません。ひとりでも多くの方に広めてください! - Readyfor #学校図書館団体SLiiiC https://readyfor.jp/projects/sliiicswc2018
サマーワークキャンプを実施するためのクラウドファンディングです。実施団体は、学校図書館の勉強会を定期的に開いている団体SLiiiCです。
京都古文化保存協会、クラウドファンディングによる寄附金募集サイトを開設 | カレントアウェアネス・ポータル http://current.ndl.go.jp/node/35812
独自にクラウドファンディングのサイトを作成している事例です。サポーターとして登録することで継続して支援ができ、また目標額に達しなくとも寄付されます。返礼品についての記述はありません。実施団体は、京都古文化保存会です。
大阪府島本町とエフバイジーがふるさと納税制度を活用したガバメントクラウドファンディングで提携、同時に3つのプロジェクトを開始 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000027837.html
ふるさと納税で用途を選択する際に、図書館への寄贈が選択できる仕組みです。この場合は、寄付金が目標額に達しなくとも寄付されます。実施団体は、島本町(大阪府)です。
地元女性たちが運営する指宿市立図書館、クラウドファンディングで日本最高額の1000万円達成 https://www.huffingtonpost.jp/2017/07/17/ibusuki_n_17507738.html
ブックカフェ(移動図書館)を運航するために実施されたクラウドファンディングです。実施団体は、NPO法人そらまめの会です。
全国の図書館へ!童謡教科書寄贈のためのクラウドファンディング - NPO法人日本国際童謡館のプレスリリース https://www.value-press.com/pressrelease/196530
図書館へ童謡の教科書を寄贈するために実施されたクラウドファンディングです。実施団体は、NPO法人日本国際童謡館です。
記事では、館種に着目して図書館の設置団体が実施したと確認できた事例についてまとめました。今回はそれ以外の事例についてまとめました。
クラウドファンディングは、いくつか方式があります。具体的には、1.投資型、2.ファンド型、3.株式型、4.購入型、5.寄付型です。1~3は投資目的で行われリターンはお金です。4~5は寄付目的で行われ、リターンはサンクスメールや氏名の掲示、商品などです。これまでの事例では4や5が多くみられました。
図書館はお金を生み出すのが難しいサービスのため、大谷図書館の事例で言及されていたような”図書館があることに意義を感じてくれている”ことが成立の要素だといえます。
AIは東大に入れるか?リーディングスキルフォーラムに参加
ビックデータで深層学習(ディープラーニング)すれば未来予想は自由自在!AIは万能!のようなニュースや風説を耳にする機会が増えてきました。私はAIと機械学習と統計の違いが説明できない(あるいは違いがないかもしれない、それもわからない)ズブの素人です。
しかし、図書館に携わるものとして読解力と読書について興味はありますし、教鞭をとるものとして”AIは東大に入れるか?”について興味があり、継続してこのプロジェクト*1をみていました。
成果報告会が開催されるとのことなので、参加してきました。
「リーディングスキルフォーラム~AI時代に求められる教育とは~」
【 日 時 】 2017年11月2日(木)13:30〜17:00
【 主 催 】 情報・システム研究機構 国立情報学研究所
【 後 援 】 東京新聞・毎日新聞社・読売新聞社
【 協 力 】 学校法人高宮学園代々木ゼミナール、東京書籍株式会社、日本電信電話株式会社、日本ユニシス株式会社、
株式会社野村総合研究所、富士通株式会社、株式会社ベネッセコーポレーション、株式会社ポプラ社
【 会 場 】 一橋講堂(学術総合センタービル内)
【 定 員 】 400名
【 参加費 】 無 料
AIは東大に入れるか?この問いはNOなのは報道の通り*2です。重要なのはその先のことです。
東大に入るために作られたAI(通称:東ロボくん)は、東大には不合格ですが、日本の大学およそ700校のうち、およそ500校に80%の確率で合格することができる、というお話をされました。このネタは既にTEDで発表されていた内容でした。このご発表のなかで重要なことは、
では東ロボくんが合格できた大学へ合格できない学生は、どうなるのか?
ということで、これについて繰り返しおっしゃられていました。
AIが人間の労働を奪う、といった言説があります。もしくは、単純労働はロボットに任せて人間は創造的な活動のみ担当すれば良いといった言説もあります。
AIに代替されない人間とはどのような人間なのか?
東ロボくんは読解力に関する問題の点数が低く、それで東大に合格できる点数に達することができなかったそうです。日本の大学の500校には8割の確率で合格できる東ロボくんに対抗するためには、現時点では、人間の能力として読解力を上げる必要があり、AI(東ロボくん)に代替されない人間は、読解力の高い人間であるということです。
つまり、読解力の高い人間を教育していく必要があるということです。
リーディングスキルテスト(略してRST)は、読解力を測定するためのテストで、4択の選択式問題で小学校から大人までを対象としたテストです。問題作成にあたっては、事前知識の必要な問題は排除し、また複数の予備調査によって年齢や学齢によって正答率に大きく差のでる問題は排除しており、同様にほぼ100%の正答率になる問題は簡単すぎるために読解力の測定に使用できないため排除する、といった精緻な作業が行われています。
結果として、中学校時点で、サイコロでランダムに選択肢を選んで回答したよりも正答率の悪い結果が散見されたそうです。
そこで、次のプロジェクトの目標として「中学校卒業までに中学校の教科書を読解できるようにする」ことを掲げておられるそうです。
RSTによって2万人の読解力を測定したところ、読書時間と読解力に正の相関はない、ということでしたが、そもそもアンケートが理解できていない(読解力がないので)可能性があるので、アンケート自体無意味である、といったこともおっしゃっておられました。
継続してこのプロジェクトに注目していきたいと思います。
*1:詳しくはこちらの動画へ日本語字幕を選べます。 Noriko Arai: Can a robot pass a university entrance exam? | TED Talk
図書館員のための文献リスト
図書館で働いているけれど、まだ司書資格は取得していないという人はそれなりにいると思います。また、司書資格は取得したけれどそれはかなり昔のことで、図書館に異動になったという方もいらっしゃるかと思います。この記事は、「図書館についてある程度は知っているけどもっと知りたい」「最近の図書館について知りたい」「図書館のことをあらためて勉強したい」という人におすすめの本などについて紹介したいと思います。随時追加予定です。
【最近の図書館について】
ささえあう図書館 「社会装置」としての新たなモデルと役割 (ライブラリーぶっくす)
- 作者: 青柳英治,岡本真
- 出版社/メーカー: 勉誠出版
- 発売日: 2016/02/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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【これからの図書館サービス】
CA1818 - 研究データ共有時代における図書館の新たな役割:研究データマネジメントとデータキュレーション / 池内有為 | カレントアウェアネス・ポータル http://current.ndl.go.jp/ca1818
横浜市立旭図書館、「よみがえる昭和の街並み 旭区風景写真アーカイブ」を公開 | カレントアウェアネス・ポータル http://current.ndl.go.jp/node/33678
第3回CODHセミナー 人文学でのDOI活用 〜研究データや所蔵品など研究資源へのDOI付与〜 | 人文学オープンデータ共同利用センター
メタ データとウェブサービス (わかる! 図書館情報学シリーズ 3)
- 作者: 日本図書館情報学会研究委員会
- 出版社/メーカー: 勉誠出版
- 発売日: 2016/11/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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情報の評価とコレクション形成 (わかる! 図書館情報学シリーズ 2)
- 作者: 日本図書館情報学会研究委員会
- 出版社/メーカー: 勉誠出版
- 発売日: 2015/10/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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【図書館の資金調達】
東京藝術大学附属図書館、クラシックSPレコードを救うための支援金をネットで募集開始 | カレントアウェアネス・ポータル http://current.ndl.go.jp/node/33091
筑波大学附属図書館、良質な本を充分に揃えるための支援金をネットで募集開始 | カレントアウェアネス・ポータル http://current.ndl.go.jp/node/33344
「陸前高田市の空っぽの図書室を本でいっぱいにしようプロジェクト」など、クラウドファンディングサービス「READYFOR?」の「READYFOR OF THE YEAR 2015」で部門賞を受賞 | カレントアウェアネス・ポータル http://current.ndl.go.jp/node/30516
【図書館の使い方】
図書館「超」活用術 最高の「知的空間」で、本物の思考力を身につける
- 作者: 奥野宣之
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2016/03/07
- メディア: 単行本
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【図書館の広報】
ライブラリー・リソース・ガイド(LRG) 第12号 | Fujisan.co.jpの雑誌・定期購読 http://www.fujisan.co.jp/product/1281695255/b/1226802/
図書館を変える広報力―Webサイトを活用した情報発信実践マニュアル
- 作者: 田中均
- 出版社/メーカー: 日外アソシエーツ
- 発売日: 2012/08
- メディア: 単行本
- クリック: 6回
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【事例紹介】
図書館実践事例集 ~人・まち・社会を育む情報拠点を目指して~:文部科学省
査読論文をオープンアクセスにする
先日、論文が載録されたので機関リポジトリでオープンアクセスにしようと思い、手続きを行っています。オープンアクセスというとピンとこない人もいると思いますので、簡単に解説して手続きについてもメモ代わりに記事を書きたいと思います。
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オープンアクセスとはなにか
オープンアクセス(以下、OA)とは、
学術論文や学術雑誌の掲載記事が、インターネットを通じて誰でも自由に閲覧できること。
コトバンクより引用
であり、通常は有料で購入されている学術雑誌を無料で閲覧できるようにしましょうという考え方や、状態を表す言葉です。
背景としては、学術雑誌は代替がしにくいものであるため、市場原理が働かず特定の出版社による独占状態によって値段の高騰が原因として挙げられます*1。値段が高ければ限られた一部の人しか研究成果を閲覧することができません。そこで、無料で誰でも自由に閲覧できるようにしましょうという考えが生まれました。
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OAの方法
では実際にOAしようと思った時には、どのような方法があるのでしょうか。その方法は以下の2点に分けられます。
OA を実現する方法はふたつある。グリーン OA とゴールド OA である。前者は、著者が自身の HP や所属する学術・研究機関のリポジトリなどで論文のアクセプト原稿を公開するという方法、後者は査読つき OA ジャーナルで論文を出版するという方法である。
まとめると、グリーンOAは自分で公開、ゴールドOAは雑誌がOA*2ということです。今回はグリーンOAのなかでも所属機関のリポジトリで公開する方法について書きます。
大学等の所属機関のリポジトリを特に機関リポジトリといいます。現在は学術雑誌の多くが有料で公開されているため、まずは機関リポジトリについて書き、次に有料の学術雑誌を機関リポジトリでOAにするための注意点等について書きます。
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機関リポジトリとはなにか
機関リポジトリとは、主に大学が提供している論文やデータを公開するためのポータルサイトのことです。代表例としては、以下の機関リポジトリが挙げられます。
その他、コンソーシアムを組んで機関リポジトリを運営している大学など様々あります。上記の機関リポジトリをいくつか見てもらうとわかりますが、機関リポジトリに掲載されているのは、論文だけではなく博士論文やデータ、図書等も含まれています。
大学であれば半永久的に存在する機関であり、論文等のデータも半永久的に公開し続けられるであろうこと、掲載されている論文等にウィルスが含まれていないであろうことがメリットとして挙げられます*3。今回は私が大学に所属していることもあり、機関リポジトリによるOAを選びました*4。
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OAの注意点
ではOAにあたっては何に注意する必要があるのでしょうか。それは著作権の帰属問題です。著作物の原則は、著作者(筆者)に著作権があるのが通常ですが、学術論文ではそうではない場合があります。
本誌に掲載されるすべての論文等の著作権は本学
会に帰属する。
ただし,著者は自分の論文等を複製,翻訳,翻
案等の形で利用することができる。論文等の全部
あるいは大部分を他の著作物(ウェブページへの
掲載を含む)に利用する場合は,その旨を編集委
員会に申し出ると共に,出典を明記する。
日本図書館情報学会投稿規定より引用
論文の著作権に関して、それぞれの学会がどのように定めているのかを知るための手段として、学協会著作権ポリシーデータベース(以下、SCPJ)があります。例えば、日本図書館情報学会の情報を見てみると、以下のように定められています。
出版社版の利用;
出版社版を利用可能です
公開場所;
著作者個人のWebサイト
機関リポジトリ
公開条件;
出典表示を行うこと
猶予期間を遵守すること (5年)
事前に照会を行うこと
出版社版の使用は刊行後5年経過後
刊行後5年以内は,著者版のみ使用可
NII-ELSの画像を使用する際は、次のメタデータを記述してください。
http://scpj.tulips.tsukuba.ac.jp/info/nii.html
SCPJより 一部抜粋
以上より、日本図書館情報学会では、事前に照会を行えば機関リポジトリへの登録が認められていることがわかります。
次回記事は実際の手続きについて書きます。
レポートを書くためのコツ 入門編(1)
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はじめに
ここでいうレポートとは、大学や学校で課題として与えられたテーマについて、学生が作成する文章のことです。実験や社会調査を行うレポートについては「IMRAD」で検索して他のウェブを参照してください。
非常勤講師をしていると大量のレポートを添削することになります。添削したレポートのなかには、内容がエッセーのようなものや、根拠のない持論を展開するだけのものが散見されます。それでは大学で課題として与えられたレポートとして提出することができるレベルとは言えません。レポートの書き方の本は世間にたくさんありますが*1、本を読まずにネットで済ませたいという人のために、教員の立場からこうしたほうがいいよ、という記事を書きたいと思います。
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レポートは、なぜ課されるか。
大学や学校で課されるレポートは、学生が理解したことを教員が確認するためのものです。学生が授業で得た知識を確認するだけであれば一問一答の試験でよく、教科書の内容からの出題で充分といえます。しかし、レポート(もしくは論述式の試験)は、学生が理解したこと、つまり授業で得た知識に基づいて論じることができるかどうかを確認するために課されます。したがって、レポートでは、出題されてから提出するまでの期間を使用して、教科書に加えて文献を参照し自分の理解したことを記述する必要があります。
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レポートはどのように書けばよいのか。
レポートの内容として、ただ知っていることを羅列しただけでは、一問一答の試験の回答と同じです。また、エッセーのように徒然なるままに書いただけでは知識を体系だって理解しているかどうかの判断ができません。
レポートでは、論旨に一貫性があり、主旨が明瞭な文章で、文献の引用を適切に行っていることが求められます。
論旨に一貫性があり、主旨が明瞭な文章とは、論理が通っている文章のことです。ここでは、いわゆる三段論法に代表されるような論理的思考*2にはふれず、レポートの形式について以下のように解説したいと思います。
レポートの形式としては、
(1)序論で自分の意見の主張を行い、
(2)本論で文献を引用しながら自分の意見の裏付けをし、
(3)結論でまとめます。
だいたいこの形式をとっていればレポートとしてはぎりぎり及第点です。文献の引用については後述します。レポートの書き方はさまざまありますが、ここではこの形式に従って解説していきます*3。いきなり序論本論結論と言われてもイメージができない、という方はこの記事が「はじめに=序論」「序論本論結論に何を書けばよいのか。/文献の引用を適切にする。=本論」「おわりに=結論」のようになっていることをさらっと確認してみてください。
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序論、本論、結論に何を書けばよいのか。
もちろん、序論、本論、結論の形式でないレポートの書き方もありますが、ここでは理解しやすいために取り上げています。また、これまでの国語教育などで起承転結といった文章の形式をならったことのある方もいらっしゃるかと思います。それはここでは一度忘れて、とりあえず序論、本論、結論の三部構成にするんだな、ということだけ頭に置いておいてください。
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序論
自分の意見の主張というのは、一見わかりにくいかもしれませんが、課題として与えられたテーマについて自分なりに考えたことを書きます。たとえば、「図書館の役割とは何か」というテーマを与えられたら、自分の意見として「図書館の役割とは、資料の収集、整理、保存、提供を通じて市民の知る権利を保障することである。」と序論に書きます。ここでお分かりいただけると思いますが、自分なりに考えるためには、テーマについてある程度知っている必要があります*4。上記の例では、図書館法に書かれた図書館が「収集、整理、保存、提供」をする施設であると定められていることを知っており、また図書館が教育基本法で定められている学問の自由と、民主主義社会の基盤である知る権利を支えている歴史を踏まえています*5。テーマについて何も知らない場合には自分なりに考えることができないため、いくつかの文献を参照する必要があります。場合によっては、レポートの内容をかんたんにまとめて序論で「~について考察したい。」のように記述することを求めることもあります。
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本論
文献を引用しながら自分の意見の裏付けをする、というのは前段落でテーマについて考える際に参照した文献を使います。全てを使う必要はありません。また、自分の意見を裏付けるために新しく文献を探して参照し、引用してもかまいません。参照した文献を使って引用しながら、自分の意見は、他の文献でも言われていることであり、根拠のない言説でないことを証明します。根拠のない言説はただの公衆トイレの落書き以下ですので、根拠を示す必要があります。例文の本論は「図書館法では、図書館について資料の収集、整理、保存が規定されている。また、図書館法の上位法である教育基本法には、学問の自由の尊重が定められている。山田(1)によればこの学問の自由は~~と指摘されており、図書館の役割の一つということができる。また、田中(2)によれば、市民の知る権利の保障は~~と言及されている。したがって、市民の知る権利は、民主主義社会の根幹をなす学問の自由によって支えられており~~といえる。」のように書きます。こうした記述の積み重ねを、課題として与えられたテーマによって量を増やすか減らすか判断し、自分の意見で裏付ける必要のある部分を補ったり、自分の意見に対する批判的な文献を引用して、考察を深めたりします。
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結論
まとめ、というのは序論で行った自分の意見の主張と本論の意見の裏付けを簡潔にまとめて、さらに必要であれば将来の展望や、本論で言及できなかったことなどを書きます。読み手にわかるように、自分で記述したことの要点はどこで、なにを主張したかったのか、序論と本論は一致しているのか、序論で言いたかったことを論証できたかどうかを自分で評価して記述します。本論で書いたことの繰り返しのように感じるかもしれませんが、簡潔にまとめることができるというのは、記述したことについて理解していないとできません。例文の結論は「図書館の役割は、図書館法で定められており、知る権利の保障の一端を担う施設であるといえる。なぜならば、図書館は教育基本法で定められた学問の自由を保障する施設であり、学問の自由は、民主主義社会の根幹をなす市民の知る権利の自由によって支えられているためである。」のように書きます。これはあくまで例なので、必ずこのような文章をかかなければならない、というわけではありません。
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文献の引用を適切にする。
前提として、引用した文献は全て引用文献として列挙します。また、引用した文と自分の文章は明確に区分できるよう記述します。引用する文献は必ず自分の意見を裏付ける、もしくは補ったり批判したりするものを用い、論旨と関係のない文献は引用してはいけません。
具体的には、引用文献の一覧は、引用した順に並べて番号をふり、本文中では引用文献の番号は引用した文の文末や著者名のあとに付します。文章を要約して引用するのか、文章をそのまま引用するのかで記述方法が変わります。
文章を要約して引用する場合には、要約した文の文末に引用文献の番号を付します。この記事の文章の文末にも、いくつか数字が付されている文章があると思います。いくつかコメントを書くために使用していますが、番号2と3は要約して引用した場合の引用で、ウェブページと電子書籍なのでページ数は記載していません。また、例文の本論では、名前のあとにかっこ付けで数字をふっています。
文章をそのまま文献から引用する場合には、引用した文を「””(ダブルコーテーション)」などで囲み、引用文献の番号を後の「”」のうしろにつけて、自分の文章とは区別します。引用文献の一覧には、引用した文が書かれているページを必ず書きます。また、文献から引用する量が2行以上になる場合には、引用した文の前後に一行ずつ空行を挿入し、引用した文はインデントを一つ下げて本文中に挿入します。
おおむねこのように引用すれば適切に引用できているといえます。ただし、大学や教員によって、細かく引用の記述方法が指定されている場合もありますので、その場合には指定に従う必要があります。
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おわりに
この記事では、レポートの書き方の方法の一つを解説しました。序論本論結論の形式で、上記にしたがって書けば、論旨に一貫性があり、主旨が明瞭な文章で書くことができるはずです。また、文献の引用は方法について詳しく書きました。しかし、そもそも本論で文献をどう引用するかが重要です。その部分については論理的思考、ロジカルシンキングについて書かれた他のウェブや文献を参照してください。
また、繰り返しになりますが、実験や調査をしている場合にはIMRADを参照してください。また、レポートの書き方としては他の方法もあります。合わない場合には他のウェブや参考文献などを参照してください。より詳しく知りたい場合には以下の参考文献を参照してください。
参考文献としては、
木下是雄「レポートの組み立て方」筑摩書房
があります。
以上、レポートについての書き方について少しでも悩める学生の役に立ちたいと思い記事を書きました。
※引用について記事を書きました。
図書館見学 目次
目次として訪問見学した図書館一覧を作成しました。地域別で「図書館名(訪問年月)」のように記載しています。訪問年月がないものは、いつ訪問したか手元に記録がない等によって記載していません。
東北/北海道
- 秋田県立図書館(2016/5)
- 宮城県立図書館(2016/5)
- 仙台市民図書館/せんだいメディアテーク(2013/8・2016/5)
- 白河市立図書館(2016/7)
- 福島県立図書館(2016/8)
- 矢祭もったいない図書館(2015/10)
- 南相馬市立中央図書館(2018/5)
関東
栃木県
- 栃木県立図書館
千葉県
- 小美玉市小川図書館・資料館(2014/10)
- つくば市立中央図書館
- 結城市立図書館(2016/6)
- 桜川市立真壁図書館(2017/3・2019/3)
- 牛久市立中央図書館(2018/5・2019/01)
- 土浦市立図書館(2019/01)
- 竜ケ崎市中央図書館(2019/02)
- 阿見図書館(2019/02)
神奈川県
- 横浜市立中央図書館
東京都
- 国立国会図書館東京館
- 国立国会図書館国際子ども図書館
- 東京都立中央図書館(2016/9)
- 立川市立図書館
- 日比谷図書文化館(2016/9)
- 高輪図書館
- 三田図書館
- 蒲田駅前図書館(2015/1)
- 蒲田図書館
- 久が原図書館
- 武蔵野プレイス(2016/9)
- 国際基督教大学
甲信越
長野県
- 伊那市立図書館(2014/4)
- 長野県立図書館(2019)
関西
- 大阪府立中之島図書館(2013/5)
近畿
兵庫県
- 洲本市立図書館(2013/6)
東海
愛知県
中国/四国
- オーテピア高知(2019/02)
- 高知こども図書館(2019/02)
九州/沖縄
福岡県
- 福岡県立図書館(2013/11)
鹿児島県
- 熊本県立図書館・近代文学館(2013/1)
- くまもと森都心プラザ図書館
- 沖縄県立図書館(2018/12)
番外
- ローマ国立中央図書館(2014/2)
- カタルーニャ州立図書館(2015/11)
- オークランド図書館(2015/3)
- 外務省外交史料館(2015/7)
- モナコ国立図書館(2017/6)
- 臺北市立圖書館北投分館(2018/6)
リンクが有効になっている図書館名については見学記録があります。その他は随時更新予定です。
発表スライドの書式について
ここでいう発表スライドとは、プロジェクター等でスクリーンに投影するもののことです。スライド作成には、Microsoft Power Point 2010を使用していますので、文字の大きさなどはソフトに準拠しています。
基本方針としては、学会発表などのフォーマルな場所での発表を想定しており、大きな教室で後ろのほうからも見えるようにします。また、聴衆に理解しやすいように、装飾や色分けは最小限に行います。自分用メモも兼ねて書きます。
発表スライドの書式
【スライドの順番】
・発表の構成(目次)を入れた場合,番号をふって,それをスライドタイトルにする
・IMRAD(Introduction, Methods, Results And Discussion)に沿う
・研究方法(Methods)には目的,対象,方法を必ず入れる
【スライドの文字の大きさ】
・スライドタイトルは32~40ポイント
・見出しは28~32ポイント
・本文は18~28ポイント
・ページ番号は16~20ポイント
【スライドの文字の色や書体】
・基本は黒、パワーポイントのデザイン標準色を使わない
・白抜き文字は厳禁
・強調したいところだけ下線、太字や赤字
・書体はゴシック体がよい。メイリオ推奨。
・アニメーションは基本使わず、使用する場合にはページを複製して、次ページに挿入する(スライドを印刷して配布資料にする際のため)
・デザイン等は基本使用しない
【スライド中の図表】
・キャプションの文字の大きさは18~20ポイント
・縦軸横軸の単位を入れる
・白黒で印刷してもわかりやすいように色分けする
・調査等した場合には、全て発表するのではなく、結論に結びつくもののみ使用
・図はキャプションを下に,表は上に
・桁数カンマは必ず入れる
・数字は有効数字+一桁で表す
・母数(N)を示す
【引用文献】
・自分の考えではない部分には全て引用文献をつける
・引用文献の付け方は ” ~といわれている(山田, 2015)[1]” のように記述し,一番最後のスライドに引用文献一覧を番号順に載せ,同一の文献を引用した際には"2)前掲1)と同様”のように記述する。
【その他】
・文章はできる限り少なくし、発表する際にはスライドの文を読み上げ、その後に詳しい説明をする。
・スライド中の表記ゆれを統一(例:子ども、子どもたち。図書館、公共図書館、公立図書館)
・発表の構成(目次)、今後の予定、引用文献のスライドをいれる。
・できれば完成後はPDFにして、それで発表する(PPTバージョン違いなどによるレイアウト崩れを防ぐため)
・スライドはローカルストレージ(PCのドキュメントフォルダ等),クラウドストレージ(Dropbox等),USBフラッシュメモリの3ヶ所に必ず保存する